それはダミーだ!2013-10-24 Thu 00:12
我々の仕事には様々な収録形態があります。
アニメのアフレコ、ラジオの収録、ナレーション、外画、ドラマCDetc…挙げればきりがないほどに。 我々は身一つで指定されたスタジオに行き喋るだけですが、製作する側はその作品に合った広さ、機材、環境などを考慮してスタジオを決定するわけです。 知らないところで頑張ってくれてるスタッフの皆さんのおかげで『ものづくり』がかたちになっていくわけですね、ありがたいことです。 さて、そんな収録の際に先日久しぶりにお会いした方がいました。 『方』というのもどうかと思うんですが…まぁぶっちゃけマイクなんですけど。 この仕事を指定ても普段の収録では見かけることはあまりない特殊なマイク…… ![]() ダミーヘッドマイクです。 ダミーヘッドマイク…名前の由来は見たまんまなのでわかるでしょうが、頭のかたちしてるからダミーヘッド。 なんでこんなかたちしてるのかといえば、このマイクの形の通りに『聞こえる』ように録音出来るから。 ヘッドホンを着けて聞くと、正面から話せば目の前に話し手がいるように聞こえ、後ろからなら後ろから、と言った具合に360°どこから喋っても『そこから聞こえる』というスグレモノ。 『立体音響型マイク』っていうらしいですが…視覚的には定着した感のある3D映像の『音版』だと思ってもらえればわかりやすいかと。 とにかくそんな性能を持ったすごいマイクなのです。 360°どこにいても『その位置から聞こえる』ように録れるこのマイクを使う場合、普段の収録とは違ったことがたくさん起こるのでそれがまたおもしろいんですがw まず…ノイズをすごい拾うw その位置から聞こえるように録れるということは、どこで音がなってもそこから聞こえるように拾ってしまうわけで。 迂闊に音が鳴りやすい革製品のズボンでも履いてきた日にゃ右で『ギュム…』左で『ギュム…』ちょっと動く度にギュムギュムギュムギュムw 着てくる衣服にもまず気を遣わねばならなかったりするのです。 他にも面白いことがありまして、ダミーヘッドマイクを使った収録の場合、普通の台本とは違って『喋る位置』が指定されています。 「このセリフは前から」「このセリフは少し離れて」みたいなことが指示として書いてあるのです。 表記の仕方は現場次第なんですが…この日の現場は台本に番号が振ってありまして、そこの番号から喋って下さい方式。 セリフの後ろに 『(1→2へ移動しながら)』とか『(9→12へ)』みたいな感じ。 ただ台本には番号は振ってあったんですが番号の説明はなく…『これは…どういう意味だろう?w』と思いながら家で読み込み現場に行くと…ちゃーんとわかるようにしてありましたよ番号のヒミツが! ![]() マイクの下に番号付き☆ ガムテープが床に貼ってあってそこの上に番号が書いてあるのですw コレにより「正面から」とかいちいち書かずとも「1で」とか「3から1へ」でわかるようになるのです! やったぜ画期的!!w ただいちいち録り始める前に『えぇと…1は……あぁあったあったで10へ…あそこか』みたいな確認をしないといけないのでいろいろタイヘンではあるんですがw あともう一個、普通の収録とは違うことがありまして。 僕も途中まで録ってて気付いたんですが…ダミーヘッドマイクの特性上『3Dで聞こえる』ので、収録をしてるブースではない方、ディレクターさんたちがいらっしゃる調整室では、スタッフ全員がヘッドホンで収録を聞いてる姿が見られますw そこかしこにすげーいいスピーカーあるんですけどね…でも全員ヘッドホンw これはなかなか見られない面白い光景でしたね…皆さんにはあまり関係ない話かもしれませんがw いろいろな機材、いろいろな人の力で、いろいろな表現方法が誕生しているんだよ、というお話でした。 スポンサーサイト
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